破産状況報告集会２ なぜ債権者が来ないのか
社長のひとこと
会の始まりに「債権者にお話しすることがありますか。」と裁判官に促されて社長がのろのろと立ち上がりました。立ち上がる前に、自分の弁護士に何か確認していました。そして言った言葉は「ご迷惑をかけて、すみませんでした。」でした。書き留めたので、間違いないです。弁護士が付いているなら、謝り方ぐらい練習して来いと言いたいような謝罪でした。頭をしっかり下げるか、こちらをちゃんと見ろと言いたい。顔をそむけたまま、それで謝罪なのかと怒りがわいただけでした。
なにもかも形式だけ
財産目録というA4の用紙一枚が渡されました。会計報告のように、読み上げてお終いでした。質問を受けつけました。もう一人の債権者が、自分の会社の名前が載っていないのは、もう何も返済されないということかと確認していました。全く返済されないと言われていました。私も、名前は載っているけれど、いくら返ってくるのかと聞きました。金額はまだ回収できていない請負工事代金があるので確定できないけれど、債権者で案分されると言われました。たいした額は返らないと目録を見ても分かりました。請負工事代金は、工事内容に納得がいかない施主が支払いを拒否しているそうです。
何故だか分かりました
会はあっという間に終わりました。廊下に出て、前をあるいていたもう一人の債権者を呼び止めました。なんで、他の債権者は来ないのでしょうか。と尋ねました。すると、いつもこんなですよ。と返ってきました。広告会社の社員と思われるその人は、今日配られた財産目録さえ手に入れば、帳簿の処理ができるのでそれで終わりなのだそうです。広告を請け負っていると、年に２回くらいは倒産で不払いになるそうです。自分は会社の売り上げだから個人の損失ではないからと言って、私に同情しているようでした。中には債権者の前で社長が土下座するようなこともあったけれど、たいがいは今日のような感じです。と教えてくれました。
出来レース
倒産被害にあったら、泣き寝入りです。破産状況報告集会も形式的に行われているのでしょう。広告会社の社員もそれが仕事でやって来ただけなので、個人的には何の感情も無いでしょう。社長の顔も初めて見たと言っていました。あの場で、怒りを持って臨んでいたのは私ひとりです。私が来るとも思っていなかったのでしょう。少しは心拍数が上がりましたか。負債を一生かかっても返済するわけでもなく、チャラになるのだから、何という事もないのでしょう。社長は痩せた風でも、やつれた風でもなかったです。ラフな服装で、デニムのシャツのインに白のTシャツを着ていました。カジュアルな靴紐を履いていました。この出来レースさえ終えれば、身軽になれますね。私は夫に返済すると決めた８０万円を背負って行きますよ。
破産状況報告集会の前半部分はこちらから
